年齢とともに失われてしまう歯、もしくはケガや事故などによりやむを得ず歯を失ってしまうこともあります。そうした場合、長らくその治療法は入れ歯や差し歯、ブリッジといったものが一般的でした。ところが、最近ではインプラントという治療法が確立され、多くの人が治療を受けているのです。インプラントとは、あごの骨に埋め込む人工歯根を指しています。

このインプラントに、人工歯をかぶせた支台が取り付けられるのです。入れ歯のように毎日取り外して洗う必要もなく、食事をした時も自分の歯に近い感触が得られるというメリットがあります。見た目も美しく、高齢化社会を長く生きる現代人にとっては、利便性や快適性が高い治療法なのです。インプラント治療は、人工的な部品を身体に直接埋め込む技術です。

本来、人間の歯というものは、クッションのようなもので支えられており、それにより噛むときの力を微妙にコントロールしています。雑菌が繁殖しやすい口腔内でも、歯根に細菌が侵入しにくいような働きも持っています。しかし、人工歯根というのはそういった働きを持たないため、歯科医師の治療技術が大きく成果の差を生み出します。歯ブラシによる清掃と、歯科によるメンテナンスは定期的に行うことが大切です。

総入れ歯を考える人にとって、片あごだけで14本、両あごであれば合計24本もインプラントを埋め込むことは、費用も身体の負担も大きく圧し掛かります。日常生活に最低限必要な歯は、片あごで12本と言われています。その12本を4または6本の人工歯根で支えるのがオールオン4または6と呼ばれる治療です。オールオン4や6を利用すれば、12本の歯を乗せたフレームを4本または6本のインプラントで支えることが出来るのです。

あごに開ける穴は2分の1から3分の1で済むため、身体にかかる負担は大きく軽減されます。また、手術費用が少なくなるというメリットもあります。インプラント治療は、保険適用外であるため、インプラントに本数を減らすことが出来れば、費用も当然少なくなるわけです。もちろん、埋め込むインプラントの数が少ないということは、治療にかかる期間も短くなります。

総入れ歯をしなくてはいけないほど、自分の歯を失ってしまった人にとっては、オールオン4や6はメリットが大きな治療法であるのです。オールオン4や6は、国内では治療できる歯科が限られています。そのため、まずは治療をしてくれる歯科医院を探すことが重要とも言えます。オールオン4や6は、多くの歯を失ってしまった人にとってメリットの大きいインプラント治療です。

しかし、4と6ではどのような違いがあるのでしょうか。オールオン4と6とは、埋め込むインプラントの数の違いがあります。4本埋め込むのであればオールオン4、6本であればオールオン6となります。しかし、本数の違いによって治療はどう変わるのでしょうか。

それは、もともとオールオン4という技術が欧米で開発されたものであることに由来しています。欧米人と日本人は、見た目だけでなく骨格も大きな違いがあります。もともと欧米人は骨格が頑丈という特徴があります。そのため、インプラントの数が4本でも十分にフレームを支えることが出来ます。

しかし日本人の骨格はそこまで頑丈ではないため、4本のインプラントで支えると、噛んだり食いしばったりする際に、骨に大きな負担がかかりすぎてしまうことがあるのです。そこで骨格が弱い日本人でも、安全にフレームを支えることが出来るよう開発されたのがオールオン6なのです。治療方法やフレームを使用するといった考え方はどちらも同じものです。骨格や顎の形のことを考えて、日本人向けに改良されているのがオールオン6です。

もちろん、日本人でもオールオン4に対応できる骨格の人はいます。治療を進めるときにはどちらがより適しているか、歯科医師に相談して進めていくといいでしょう。インプラント治療は、保険適用外の診療となるため、歯科医院によって料金が全く異なります。費用はインプラントを埋め込むための費用、これは検査や手術費用などが含まれます。

そしてもうひとつが人工歯や土台となる部分などの部品に関する費用です。後者の部品にかかる費用は、ある意味明確なものです。インプラントメーカーによって価格は異なりますが、これは原材料の違いや研究開発費の違いといっていいでしょう。大きく異なってくるのは、意思による治療の部分です。

この部分に関しては完全に自由診療となるため、治療費用に差が出てくるのです。ただ、一般的にお店で物を買うのとは異なり、インプラントは医療行為です。安ければいいというものではありません。毎日使用する歯を、安心して安全に、しかも長期間埋め込むわけですから、ある程度の技術費用はかかると思っておいた方がいいでしょう。

インプラントの治療は1本30~40万とも言われています。しかし、もっと安価に行っている歯科もあります。たくさん施術を行うことで、治療費を安価に設定できるといった歯科も少なからずあります。長く良い治療を行ってもらうためにも、信頼できる専門歯科を選ぶことが大切なのです。

歯を失ってしまった人にとって、自分の歯のように使うことが出来るインプラントは、とても期待が大きい治療です。しかし中には、インプラントによる治療が出来ないという人も少なくありません。それは、インプラントを埋め込むための骨がもろくなっているからです。歯周病などが原因で歯を失ってしまうと、今まで土台となっていた歯ぐき内側にある歯槽骨という骨が薄くなってしまう場合があります。

そのように薄くなってしまうと、インプラントを埋め込んでも十分に固定されず、食事をするときの噛む力や歯を食いしばる圧力に耐えられないことがあります。そのため、インプラントによる治療を諦めざるを得ない場合があるのです。しかし医学は日々進化しており、再生医療の分野を歯科治療に生かそうという流れがあります。治療を望む本人から自家骨膜を採取し、それを培養して骨が足りない部分に移植するのです。

自分の骨膜を使用するため、アレルギー反応の心配もなく歯槽骨を再生することが可能です。骨を再生し、しっかりとした土台を作ることが出来れば、インプラント治療をすることも出来るようになります。このように歯科分野は、他の医療分野と手を結ぶことで、より高度な治療を行うことが可能となるのです。インプラントは、埋め込み手術をしたらその場で仮歯を入れてもらうことが出来ます。

そのため、やわらかいものなどなら施術当日から食べることも可能です。しかし、歯ぐきを切ってあごの骨を削るといった手術を行うため、人によっては腫れや痛み、出血が長引くといった症状が起きることがあります。炎症を抑えたり、最近が繁殖しないようにしたりする内服薬が手術後には処方されます。痛みが引いたからもう必要ないと自己判断したりせず、最後まできちんと飲み切ることが大切です。

術後は歯磨きがこわいと、つい簡単に済ませてしまいがちです。しかし手術した歯以外の健康な歯は、普段と同じようにきちんと磨くようにします。口の中は、いつも清潔に保つ必要があるのです。もし術後なかなか痛みが引かず、処方された鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない場合などは、早めに再度受診することが大切です。

傷口の状態が気になって、鏡を見ながらついつい触ってしまう人も多いのですが、傷口が広がったり、感染症のリスクが高まるため、手術をした部分は触らないように気を付けましょう。またインプラントは虫歯にはならないものの、定期的にメンテナンスをする必要があります。メンテナンスを怠ると、周囲に炎症が起こる場合もあるため、最低でも半年に1回は受診して、診察を受けるようにしましょう。