虫歯は進行度によって治療方法が異なりますが、重症化が進むほど治療期間や費用がかかることになります。
初期段階の虫歯の治療方法ですが、虫歯には進行度に応じて5段階にわけられます。COが最も軽度の状態で、C4が最も重症の虫歯と言う事になります。COの段階の虫歯は、歯に穴が開いている状態ではなく、エナメル質の部分が溶けだしている状態になります。この状態の時には、全く自覚症状がないので、自分で気が付くとすれば、日頃から口腔内の管理をしっかりと行っている人だといえます。COに対する治療方針は基本的に経過観察になります。昔の歯科治療の基本は虫歯に対しても早期発見早期治療が基本でした。
近年になって、CO段階の虫歯であれば、家庭や歯科での口腔内管理をしっかりと行う事で再石灰化によって治癒する可能性がある事がわかっています。CO段階で治療を行わずに経過観察にするのは、再石灰化に期待をするのが最良の目的ですが、虫歯になった歯の予後を考えての治療方針だともいえます。現在の歯科治療であれば、マイクロスコープなどの医療器具の発達もあるので、最小限の範囲を削る治療も行えますが、一度削った歯の強度や虫歯の再発などを考慮すると経過観察によって進行状態を定期的に診察する事が現時点では、最も良い治療方針になっています。虫歯の進行状態がC1になると初期の虫歯という診断になります。この段階になっても、痛みなどの自覚症状がないので、検査などで発見されることが多くなります。C1段階の虫歯治療に関しては、歯科医師の治療方針によって異なる事があります。痛みがない状態なので、CO段階の虫歯の時と同じように経過観察をしながら、進行度合いによって治療を開始する歯科医師もいますし、CO段階とは異なり再石灰化の可能性がないので、早めに治療を行う歯科医師もいます。C1の虫歯の治療は、虫歯になっている部分を削り、レンジなどと呼ばれるプラスチック製の詰め物を使用して虫歯部分に詰めます。このレンジは、やわらかい素材でできていて、可視光線をあてるとすぐに固まるので、治療時に患者に大きな負担がかかりませんし、治療回数も1回で済む事が基本になっています。治療の回数が少なくて済むのであれば、早期治療を希望したくなる気持ちもあると思いますが、治る可能性はありませんが、家庭での歯磨きをしっかりと行えば、進行をかなり遅らせる事もできる段階でもあります。虫歯治療はさほど大変ではないと言っても、歯を削れば弱くなった歯は最終的な寿命という事で考えた時もできるだけ削らない方が良いのも事実です。C1段階の虫歯は歯科医師の判断によって、治療方針が異なる事が考えられますが、多くは患者さんの他の歯や口腔内の状況なども含めて判断をします。虫歯もC2の段階になると確実に治療が必要なレベルになります。
C2の虫歯は、象牙質の部分に虫歯が達している状態になります。この段階になると、普段は痛みを感じませんが、徐々に冷たい物や熱い物などがしみるようになってくる段階です。冷たい物や熱い物を口に入れた時にしみるのは、虫歯の進行が神経に近づいている状態で、象牙質まで進行した虫歯が自然治癒する事は絶対にありえないと言われています。C2段階の虫歯治療の基本は、虫歯部分を削る事になりますが、虫歯の状態によって、神経に状態であったり、中で穴が大きくなったりしている場合は、麻酔を使用して治療に痛みが出ないように対処をする事になります。同じC2の段階でも歯科医師の判断によって異なりますが、麻酔を使わない治療を行う事もありますが、治療そのものが嫌だと感じている人は事前に麻酔をお願いするのも安全な治療を行うためのポイントになります。C2の虫歯は、軽度であれば、C1段階と同様にレンジを詰める事で終了になりますが、多くは進行してしまっているので、インレーと呼ばれる詰め物をするための型を取り、詰め物が出来るまで1週間くらいかかるので、それまでは仮のやわらかい詰め物をしておきます。詰め物をするために型をとっているのであれば、完成した詰め物を合わせるために最低でも2回の治療がかかります。この治療方法はどこの歯科でもほぼ同様の流れになっています。虫歯が進行をして、普段からズキズキと痛みがあるようであれば、間違いなくC3の段階に進行している虫歯だと考えられます。
この段階の虫歯ともなると確実に早急の治療が求められますが、残念ながらこの段階になると治療には麻酔も必要になりますし、多くのケースで虫歯が神経に達していると考えられるので、根管治療を行う事になります。C2の段階までの虫歯であれば、詰め物を使用する事で治療を終える事ができましたので、歯科医師の実力によって多少の差はありますが、基本的な治療になるので大きな差はないと思われますが、C3の治療に必要な根管治療に関しては、歯科医師の経験や技術がとても重要になると言われています。
根管治療というのは、虫歯に侵された神経部分を取り除き、その部分に薬を詰めて行う治療になりますが、虫歯の状況によって異なりますが、数回の根管治療が必要になるので、治療期間は2か月から3か月かかる事も予想されます。根管治療が終わった部分に薬をつめて、被せ物であるクラウンを被せるために土台をつくってから、クラウンの型をとります。最終的にはクラウンを被せて、噛み合わせなどを確認しながら治療は完了しますが、C3段階までの虫歯になった歯の残った部分の寿命はその後のケアによって大きく異なってくるので注意が必要になります。
虫歯の症状の中でも最も進行しているC4の状態は、神経も腐ってしまっていますし、歯自体もかなり崩れてしまっている状態なので、根元だけになっている事が予想されます。C3の段階でかなりの痛みがあったはずなのにどうしてC4になるのかというと、神経まで虫歯が達すると激しい痛みがありますが、痛みどめの薬などを飲むと一時的に痛みがやわらぎます。この状況が何度か繰り返されると、突然痛みがなくなる時期があります。この段階がC4の末期となります。虫歯が神経まで腐らせてしまった事により痛みを感じなくなったというのが、現状で虫歯が治ったわけではありません。放置をすれば、いずれ歯茎や骨まで進行して、もはや歯科ではなく、口腔外科の専門になる事もあるので、治療は早急になります。基本的な治療は、抜歯をして、部分入れ歯かブリッジを使用する事が基本になります。
当然これらの治療は他の歯への悪影響もありますし、強度や寿命という意味でも良い状態に戻す事は困難だといえます。インプラント治療を行えば、歯の強度や予後は良くなりますが、保険適用ではないので費用面でデメリットがあります。どちらにしてもC4の段階まで虫歯が進行してしまった場合は、治療方針もある程度限られてしまいますし、残った歯や周りの歯への影響を考えても良い状況とはいえません。C3段階までの治療と比べると治療期間も費用も多くなると考えられます。虫歯の治療方法は、進行度によって大きな違いがあるのですが、できるだけ虫歯にならないようにするのもとても大事なことだといえます。
しかしながら家庭内の口腔内の管理だけで、成人になっても虫歯が全くできないという人はとても少ないのが現実だと言われています。虫歯や歯周病などを予防するには、家庭での歯磨きが最も重要だと言う事は、基本的な事になるのですが、家庭内での対応だけでな、プラークコントロールには限界があります。歯磨きの時に歯ブラシ以外に、フロスや歯間ブラシを使うのも虫歯予防の基本となりますし、歯ブラシをする時に自分なりに磨き残しがなくなるように決まったルートで磨くようにするのも良い方法だと言われています。強すぎず弱すぎずに丁寧に磨くことでかなり虫歯を予防する事ができます。食事に関しても、できるだけ甘い物を避けるのは基本ですが、咀嚼回数を多くするのも唾液が多くでることで口腔内のバランスを良くする傾向があるので、意識をする必要があります。
また口腔内の乾燥や雑菌の侵入を防ぐためにも口呼吸をせずに鼻呼吸にする事が重要になります。家庭内でできる事を全て、やっていてもおそらく虫歯を完全に防ぐ事は難しいと言えますので、定期的な歯科検診を行い、歯科医師や歯科衛生士の指導のもとでプラークコントロールを行うのが万全の虫歯予防につながるといえます。
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